美容徒然草22│顔は鍛えた方がいい?
顔は、鍛えた方がいい?
先日、お客様からこんなお話を聞きました。
顔の筋トレを習っていたそうで、先生から
「以前より口角が上がるようになりましたね」と言われたそうです。
写真を見せていただくと、確かに以前より口角を高く上げた表情を作れるようになっています。
でも私は、少し違うところを見ていました。
口角を上げようとして、頬や目の周りにもかなり力が入っている。
下まぶたには窪みができ、目尻には以前より線が見えます。
もちろん、これはZoomで撮られた写真です。
撮影条件も表情の強さも同じではありません。
ですから、この写真だけを見て、「顔の筋トレをしたからシワが増えた」とは言えません。
でも同じ理由で、「口角が上がったから、老化予防になっている」とも言えないと私は思うのです。
「動かせる」と「若々しくなる」は同じ?
顔の筋肉も、使わなければ衰える。
だから、老化を防ぐためには表情筋を鍛えた方がいい。
一見、とても分かりやすい話です。
けれど、私は長く人の顔に触れてきた経験から、この考え方には少し慎重です。
なぜなら、顔の筋肉は普段から使っているからです。
話す
食べる
笑う
目を細める
驚く
私たちは一日の中で、何度も表情筋を動かしています。
そして実際に施術をしていると、「使えていないから困っている」というより、
特定の場所を使いすぎていると感じる顔にも、たくさん出会います。
師匠から教わった「山と谷」
私が顔を見るときの考え方の一つに、「山と谷」があります。
これは、私が小顔矯正(コルギ)の師匠から教わったものです。
例えば、表情ジワがあるとします。
シワという「線」だけを見るのではありません。
その周囲に、強く縮んで硬くなっているところはないか。
そこが小さな「山」のようになり、周囲との間に「谷」ができていないか。
顔は一枚の皮膚でつながっています。
一ヶ所だけを切り離して考えることはできません。
だから私は、
「ここにシワがあるから、ここを何とかしよう」とは、あまり考えません。
山と谷を含めて、顔全体を見ます。
そして、凝りが減ると、シワは薄くなり、ツルンとした滑らかな質感に近づいていきます。
笑顔を作り続ける人の顔
以前、「ずっと、笑っていなくていい。」というエッセーを書きました。
職業柄、長時間笑顔でいなければならない方のお顔を、私はこれまで何人も施術してきました。
接客業などでは、一日に何度も笑顔を作ります。
楽しくて自然に笑うのとは少し違います。
仕事として、同じ表情を繰り返し作る。
そういう方のお顔に触れると、特定の場所にとても強い緊張を感じることがあります。
そして私の経験では、そのような緊張が日常的に繰り返されている方は、施術をしても変化が小さいことがあります。
せっかくほどいても、また使う。
回復する前に、また同じところを使う。
それを毎日繰り返しているからです。
だから私は、
「顔の筋肉は鍛えれば鍛えるほど、老化予防になる」
とは考えていません。
では、顔を動かさない方がいい?
顔は動かさない方が良いのか?
そういうことでもありません。
私は、笑わない方がいいとも、顔の筋肉を使わない方がいいとも思っていません。
むしろ、笑いたい時はたくさん笑えばいい。
話したり、食べたり、驚いたり。
顔は自然に、いろいろな表情をすればいいと思っています。
大切なのは、
満遍なく使うこと。
使ったら、回復する時間を与えること。
そして、無理に動かさないこと。
なのではないでしょうか。
身体の筋肉なら、毎日同じところだけを酷使するより、休息も必要だと考えるでしょう。
疲れている日に、さらに負荷をかければいいとは限りません。
ところが顔になると、なぜか「老化するから毎日鍛えましょう」という話になりがちです。
ですが、顔だって、私たちの身体の一部です。
働いたら、休みたいのではないでしょうか。
頑張って作る顔より、自然に出てくる顔
今回のお客様は、老化を防ぐために良かれと思って、きちんと筋トレを続けていました。
だから、私はその努力を否定したいわけではありません。
ただ、
「以前より口角を高く上げられるようになった」
ということと、
「以前より若々しい顔になった」
ということは、分けて考えた方がいいと思っています。
一ヶ所が大きく動くようになったとき、ほかの場所では何が起きているのか。
力を抜いたときの顔はどうなのか。
自然に笑ったとき、柔らかく動けているのか。
顔全体を見てみることも必要です。
美容のために、一生懸命「正しい顔」を作らなくてもいい。
笑いたいときには笑う。
そして笑い終わったら、力を抜く。
疲れたら、休ませる。
笑顔は、頑張って保つものではなく、自然に生まれて、自然に戻るもの。
それなら美容も同じなのかもしれません。
若くいるために、顔を頑張らせ続けなくてもいい。
鍛えることより先に、
今、自分の顔のどこが頑張りすぎているのかを少し見てあげてもいいのではないでしょうか。
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体の巡りという視点から、美しさについて書き留めている連載です。
はじめての方は、序章からどうぞ。
その1|焦ると、逆に変わりづらい。
その2|巡りを整えると、個性は消えるのか。
その3|巡るのに、締まらない理由。
その4|変えたい場所だけ、触れていませんか。
その5|潤いは、足すのでなく育てるもの。
その6|テカリと艶は、どう違う?
その7|老化は、劣化ではない。
その8|足し算の美容を、やめる。
その9|肌余りとは、何ですか?
その10|顔のパーツは、連動する。
その11|頭の大きさは、変わらない?
その12|巡れば、オーラが目を覚ます。
その13|削ぎ落した先に、オーラは増す。
その14|巡りは、どこから止まるのか。
その15|夏前のダイエットが、もたらすもの。
その16|体重神話を捨てる。
その17|痩せる=美しくなる、なのか?
その18|なぜか綺麗に見える日の理由
その19|顔にかかる「お面の正体」。
その20|ずっと、笑っていなくていい。
その21|準備が出来ている人ほど、施術で変わりやすくなる。
その22|顔は鍛えた方がいい?

