UBクリームを使う方が全国に増えて、私が何度も説明することになったものがあります。

「肌余り」です。

これは私たちが便宜上そう呼んでいるもので、医学的な名称ではありません。

顔まわりが短期間で大きく変わったとき、その変化に皮膚の見え方がすぐには馴染まず、

「急にたるんだ気がする」

「シワが濃くなった」

「疲れて見える」

という時期が現れることがあります。

面白いのは、本人が気づかなければ、何事もなかったように通り過ぎてしまうことです。

顔の変化をあまり細かく観察しない方なら、

変わって、

少し不安定な時期があって、

また変わって、

馴染む。

気づいた頃には終わっています。

ところが、途中で気づいてしまった方には、これがなかなか厄介でした。

「老けた気がします」

美容のためにクリームを塗っているのに、「前より老けた気がします」となる。

これは不安になります。

眉間のシワが急に深くなったように見えたり、頬がたるんだように感じたり、フェイスラインが以前より気になったり。

鏡を見るたびに、

「これ、大丈夫なの?」

と思います。

そして不安になると、人はその場所を何度も見ます。

昨日より悪くなっていないか。

朝よりたるんでいないか。

反対側より変ではないか。

すると、今まで気にしていなかったところまで気になり始めることがあります。

この頃から私は、美容の話をしているはずなのに、

身体の状態だけを見ていても足りないのかもしれないと思うようになりました。

同じような変化が起きても、その受け取り方が人によってまったく違うからです。

「このクリームは怖くない」

一方で、不思議なくらい不安にならない方もいました。

途中で少し変な時期があっても、「大丈夫だと思います」と言うのです。

なぜ怖くないのか聞くと、

だって、このクリーム、全部の場所をいい感じにしてくれるから

というようなことを言われました。

その方は、私が説明するより先に、自分の身体で変化の方向を理解していたのだと思います。

UBクリームを使ったからといって、身体中のすべてが小さくなっていくわけではありません。

むくみや凝りが強く、本来より膨らんで見えていたところは、小さくなることがあります。

でも、頬や胸などは、むしろ本来のふっくらした感じやハリが戻ってくることもあります。

だから私は、長年の施術経験から、

身体は「小さくなろう」としているのではなく、本来の状態へ戻ろうとしている

ように感じていました。

ただ、それは私にとっては施術室で何度も見てきた光景です。

初めて自分の身体で経験する人にとっては、そうではありません。

「エラが張ってきた気がします」

実際、こんなご相談もありました。

以前エラのボトックスを受けていた方です。

UBクリームを使い続けている途中で、

「ボトックスをやめて半年以上経ったからか、またエラが目立ってきた気がします」

と写真を送ってくださいました。

ご本人には、顔の横幅が広がったように見えていました。

脂肪がついたのか。

エラがまた発達してきたのか。

ボトックスをした方がいいのか。

でも、以前の写真と並べてみると、私には少し違って見えました。

エラが大きくなったというより、

顔の縦幅が短くなって、全体の比率が変わっていたのです

顎も短くなり、下顔面がすっきりしたことで、それまでとは骨格の見え方も変わっていました。

そのことをお伝えすると、

「顔の横幅が広くなったと思っていましたが、縦が縮んでいたんですね」

と驚かれていました。

変化には気づいていた。

でも、何が起きたのかという解釈が違っていたのです

そこで、すぐに何かを足すのではなく、しばらく様子を見ることにしました。

10日ほどしたら、また写真を送ってください。

そのとき、もう一度比較しましょう。

そして数週間後。

また写真を送ってくださいました。

途中で気になっていたフェイスラインも変わっていました。

ご本人も比較写真を見て、

「変わりすぎてびっくりです」

「本当にボトックスいらないですね」

と驚かれていました。

もし、最初に「エラが戻った」と感じたその一瞬だけで結論を出していたら、また別のことをしていたかもしれません。

一枚の写真で、結論を出さない

こうしたご相談があると、私は以前の写真と比較しました。

本人は、眉間なら眉間、頬なら頬、フェイスラインならフェイスラインと、どうしても気になる一部分を見ています。

でも、顔全体を並べて比べると、

本人が思っているほど、悪くなっているわけではない

ことがよくありました。

むしろ、他のところではかなり変化が進んでいることもあります。

それを一緒に確認して、

「今はここが途中なんだと思います」

「10日後にもう一度見ましょう」

「2週間くらい待ってみましょう」

とお伝えしました。

そして、また写真を送ってもらう。

比較する。

「あ、大丈夫だった」となる。

そうやって一人ずつ、途中の時期を乗り越えていきました。

もちろん、相談したあと何も報告してこない方もたくさんいました。

こちらとしては、

で、その後どうなったんだ」と思います。

でも、あるときお客様の女医さんにそんな話をしたら、

「言ってこないときは満足してるんですよ」と言われました。

なるほど。

確かに、病院も同じです。

困っているときには連絡が来ます。

解決したら、人は普通の生活に戻ります(笑)。

実際、肌余りについてかなり心配していらしたのに、アドバイスをお送りしてからぱったり連絡がなくなり、数か月後に何事もなかったようにUBクリームを追加購入している方もいました。

喉元過ぎれば何とやら、です

「綺麗になりました。めでたし、めでたし」

こうした人たちを見ているうちに、私はもう一つ考えるようになりました。

多くの人は、美容の変化をどこか、

昔話のエンディングのように考えているのではないか

悩みがありました。

ケアをしました。

綺麗になりました。

めでたし、めでたし。

そこで物語は終わる。

でも、現実の身体はそんなに静的なものではありません。

むくむ日もあります。

疲れる日もあります。

先に変わるところもあれば、後からついてくるところもあります。

一度すっきりした場所が、また違って見えることもあります。

中身の変化と、皮膚の変化が、いつも同じ速度で進むとも限りません。

身体はもっとダイナミックで、流動的で、ずっと変わり続けています

だから、一瞬を切り取って、「良くなった」「悪くなった」と決めてしまうと、実際に起きていることを見誤ることがあります。

身体の変化と、それをどう見るかは別の問題

そして、不安が強い方を見ていると、別のことにも気づきました。

一つの悩みが解決すると、次の悩みを見つけることがあります。

眉間が気にならなくなったら、今度は頬。

頬が落ち着いたら、今度は左右差。

身体は変わっているのに、悩みの場所だけが移動していく

反対に、途中で少し変なところがあっても、「まあ、また変わるでしょう」と気にしない方もいます。

同じ身体現象でも、受け取り方はまったく違います。

この頃から私は、美容には、身体だけではなく、その人の認知や心理状態も関係する

と感じ始めました。

これは「心の持ち方で身体が変わる」という意味ではありません。

起きている身体の変化と、本人がその変化をどう解釈するかは、別の問題だということです。

サロンには、私がいた

考えてみれば、サロンではこの問題がそれほど表面化しませんでした。

なぜなら、そこには私がいたからです。

お客様が、「なんかちょっとたるんだ気もする」と言えば、私は実際に顔を見ることができます。

「いや、ここは前よりこうなって、ここは肌余り中なんですよ」と説明できます。

写真を並べることもできます。

「同じようになってしばらくして戻ったお客様がいましたよ」と別のケースを話すこともできます。

勘違いしていれば、「それは違うと思います」と言えます。

不安なら、その場で話せます。

そして私は身体を見て、その日の施術を強くしたり、弱くしたり、何もしなかったりできます。

つまり施術室には、手技だけではなく、

観察する人、説明する人、変化を一緒に見る人がいました。

私はそれを、あまり意識していませんでした。

でも、ホームケアには私がいません。

本人と、鏡と、クリームだけです。

そこで初めて、施術室で私が無意識に担っていた役割が見えてきました。

「変わる」とは、どういうことなのだろう

そして肌余りについて何度も何度も説明しているうちに、私は少し腹が立ってきました。

世の中には、

「小顔」

「引き締め」

「ハリ」

「変化」

を謳う美容商品が、昔から山ほどあります。

それなのに、

本当に身体の形が変わっていく途中について、なぜこんなにも共通認識がないのだろう

中身の変化と皮膚の変化に時間差が出ること。

一時的に悪くなったように見えること。

全部が小さくなるわけではないこと。

途中の一瞬だけで評価しない方がいいこと。

私はそれを、一から説明していました。

正直、「おい、今までみんな何をしてきたんだ」と、少し思いました。

もちろん、他の商品が何をしているのか、私には分かりません。

ただ、私自身はUBクリームを「変わるもの」として世に出した以上、

変化の途中まで見なければならないと思うようになりました。

「まだ変われる」

でも、肌余りは悪いことばかりでもありませんでした。

むしろ、その時期を一度経験した方の中には、その後、身体の変化を以前ほど怖がらなくなる方もいました。

なぜなら、自分の身体が短期間でもこれだけ変わるということを、自分自身で経験したからです。

一時的に変に見えても、

また変わる。

少し待てば、続きを身体がやる。

その経験をすると、「もう年齢だから仕方がない」「ここは一生変わらない」と思っていたものに対して、

「私の身体は、まだ変われるのかもしれない」という感覚が生まれます。

それはUBクリームへの信頼だけではなく、自分の身体への信頼を取り戻していく過程でもあったように思います。

これは、私にとってとても面白い発見でした。

肌には、肌の所要時間がある

そして私自身の考え方も、少しずつ変わっていきました。

何かが気になる。

では、何をすればもっと早く変えられるか。

何を足せばいいか。

どうすればもっと強く作用させられるか。

美容は、ついそう考えがちです。

でも、肌余りを見ていると、必ずしもそれが正解ではありませんでした。

一度変化が起きたら、身体の側が続きをする時間が必要なことがある

そんなときは、さらに刺激を重ねるより、

ミストを使う。

強いケアは休んだり、スローペースにする。

肌を守る。

そして待つ。

すると、10日後、2週間後には、また違う顔になっている。

私がやるべきことは、肌をこちらの思い通りにコントロールすることではないのかもしれない。

肌を守る。

育てる。

育とうとしているのを邪魔しない。

そして、ときには、

見守る

植物に水や光や土は用意できます。

でも、葉を引っ張って早く育てることはできません。

肌も同じなのだと思うようになりました。

人間には、「早く結果を出したい」という都合があります。

でも、肌には人間の予定表は関係ありません。

肌には、肌の所要時間があります

UBクリームを作ったことで、私は身体をもっと変えられるようになると思っていました。

でも実際に教えられたのは、少し違うことでした。

変えられるからこそ、変えすぎない。

手を加えられるからこそ、手を出さずに待つ

身体には、こちらが全部やってあげなくても、自分で続きをやる力がある。

UBクリームを全国の人が使い始めて、私は少しずつ、

身体を変える方法ではなく、身体が変わっていくのをどう支えるかを考えるようになっていきました。