UBクリーム誕生と、その後。 05│3000本では足りない
2024年11月はじめ。
私たちは、UBクリームの在庫を見ながら、「このままだと、あとしばらくでクリームは完売する」と気づきました。
Threadsで大きく流れが変わった10月の三連休から、まだ1か月も経っていません。
少し前まで、「3000本も作って、どうする?」と言っていたクリームです(笑)
それが今度は、3000本では足りない。
まさか、こんなことで困る日が来るとは思っていませんでした。
そもそも、3000本も作る必要はなかった
ここで少し、最初の3000本の話に戻ります。
UBクリームを商品化するとき、私は最初から3000本も作りたかったわけではありません。
本当は、500本くらいでよかったのです。
スタッフも含めて3人程しかいない小さなサロンです。
まずはサロンのお客様に使っていただいて、なくなったらまた作ればいい。
それくらいに考えていました。
ところが、製造の最小ロットが3000本でした。
商品にするなら、3000本作るしかない。
だから作りました。
そして案の定、最初はなかなか減りませんでした。
母からは、「売れ残ったら私が買うよ」と言われました。
いや、さすがに3000本は無理でしょう。
今になって思えば、もし500本から作ることができていたら、UBクリームはそこで完結していたかもしれません。
サロンのお客様たちは皆さん買ってくださいましたから、500本なら十分に売れたでしょう。
「ちゃんと売れたね。よかったね」で終わっていた可能性があります。
3000本もあったから、オンラインショップを作り、サロンの外にも売る必要がありました。
当時は困ったこの3000本が、結果的にはUBクリームを外の世界へ出す余白になりました。
ところが、その3000本が今度は足りません。
「もう3000本作ればいい」ではなかった
在庫がなくなるなら、追加で作ればいい。
当然、そう考えました。
ところが化粧品は、「なくなりそうなので、来週もう3000本ください」というわけにはいきません。
製造には時間がかかります。
追加生産について確認すると、3000本でも納品はゴールデンウィーク明けになると言われました。
半年近く先です。
その頃には、一日に100件近く注文が入る日もありました。
どう考えても、今ある在庫がそこまでもちません。
そして、仮に何とかゴールデンウィークまで持たせたとしても、また3000本作って、それが短期間でなくなったらどうするのか。
また半年待つのでしょうか。
同じことの繰り返しです。
そこで出てきた数字が、
1万本。
完全に未知の世界でした。
これは一時的なバズなのか
今なら、過去の販売数があります。
どのくらいの方がリピートしてくださるのかも分かります。
季節による変動もある程度読めます。
それを見ながら、次の生産数を考えることができます。
でも、このときは違います。
UBクリームが急に売れ始めて、まだ1か月も経っていません。
これは一時的なバズなのか。
それとも、一度使った方がその後も使い続けてくださる商品なのか。
判断するだけの時間が、まだ経っていませんでした。
Threadsで話題になっている間だけ売れて、数か月後には誰も見向きもしなくなるかもしれません。
その状態で1万本作ったら、今度こそ本当に大量の在庫を抱えます。
でも、3000本では足りない。
決めなければなりませんでした。
数か月、ありません。では困る
私が一番避けたかったのは、長期間の欠品でした。
すでにUBクリームを毎日のケアとして使い始めている方がたくさんいました。
その方たちに、「次ができるまで数か月ありません」と言ったら、どうなるでしょう。
当然、別の商品を探すと思います。
それはお客様が悪いわけではありません。
毎日使っているものがなくなって、「半年待ってください」と言われても困ります。
せっかくUBクリームを気に入って使い続けてくださっているのに、こちらの生産事情でケアを中断させたくありませんでした。
ならば、作るしかない。
1万本。
ずいぶん思い切った決断でした。
今度は、お金が必要になった
もちろん、1万本を作るにはお金が必要です。
しかも、次回生産について確認すると、原材料価格も上がっていました。
前回と同じ条件では作れません。
ついこの間まで、「売れない。どうしよう」と言っていた商品に、今度はまとまった増産資金を用意しなければならなくなりました。
そして、もう一つ問題がありました。
今ある在庫の減る速度も、少し落とさなければならない。
このままの勢いで売れ続けたら、1万本を発注したところで、完成するずっと前に在庫がなくなります。
そこで、急遽UBクリームの価格を上げることにしました。
増産のための資金を作る。
そして、在庫がなくなるまでの時間を少しでも延ばす。
当時の私たちには、必要な判断でした。
値上げのお知らせができない
ただ、一つ困ったことがありました。
本来、商品の価格を変更するなら、「○月○日より価格を改定いたします」と、事前にお知らせするべきです。
私たちも、それは分かっています。
でも今回は、それができませんでした。
なぜなら、値上げのお知らせをしたら、さらに売れてしまうからです。
「値上げするなら、その前に買っておこう」
当然そうなります。
ただでさえ、次の生産まで在庫をどう持たせるかを考えて値上げするのに、その告知によって駆け込み注文が殺到したら、本末転倒です。
そして、もう一つ。
発送部門も限界に近づいていました。
老眼二人で発送していました
UBクリームが突然売れ始めた頃、発送部門では毎日大量の荷物を作っていました。
担当は社長と古参の社員の二人。
二人とも老眼です(笑)
注文を確認する。
商品を揃える。
間違いがないか確認する。
梱包する。
発送する。
それを毎日、延々と繰り返す。
ようやく今日の分が終わったと思ったら、また夜に注文が何件も入っています。
当時は昼ご飯を食べる間もなく、よく何日も事務所に泊まり込みで発送作業をしていました(帰る時間が作れなかったため)。
そんな状態で、「来週値上げします!」などと発表したらどうなるか。
在庫より先に、老眼二人がもちません。
そこで申し訳ないと思いながら、今回は事前のお知らせをせず、価格を変更しました。
もちろん、「前の価格で買いたかった」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
事後発表になってしまったことについては、当時もお詫びしました。
でも、UBクリームを一時的に売り切ることよりも、
必要としてくださる方へ、この先も届け続けられることを優先しました。
売れればいい、では終わらなかった
商品を作った頃の私は、
まず、良いクリームを作ることを考えていました。
発売した頃は、3000本をどう売るかを考えていました。
そして売れ始めたら、今度は、どうすれば売り切らずに作り続けられるのか
を考えなければならなくなりました。
商品というのは、売れたら終わりではありません。
毎日使ってくださる人ができたら、なくならないように作る。
必要な数を予測する。
そのためのお金を用意する。
発送できる体制を作る。
それまで私は、サロンで目の前のお客様に施術をする人でした。
UBクリームも、その施術を支えるために作ったものです。
それがいつの間にか、1万本という単位で商品を作り、その先の在庫まで考えなければならなくなっていました。
私たちはこの頃から、否応なく、
「メーカー」としての仕事を始めることになりました。
でも、問題は在庫だけではありませんでした。
UBクリームが全国へ広がったことで、サロンのお客様だけを見ていた頃には出会わなかった報告も、少しずつ届き始めていました。
「眉間のシワが濃くなった気がします」
「ニキビができました」
「顔がむくみました」
「赤い点々が出ました」
ほとんどの方から届くのは、驚きや喜びの声です。
それでも、少数の報告を見ているうちに、私は別のことに気づき始めました。
良いものを作ることと、誰もが家で同じように使えるものにすることは、同じではない。
どうやらUBクリームは、作って、売って、増産すれば終わり、というものでもなかったようです。
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02|「自惚れクリーム」にする?
03|私はまだ、このクリームを知らなかった
04|クリームが勝手に歩き始めた
05|3000本では足りない
06|「塗ればいい」だけではなかった
07|肌には、肌の所要時間がある
08|1万本が届いた日

