UBクリームの誕生と、その後。 01│クリームなら、塗れます!
「クリームなら、塗れます!」
UBクリームを作ろうと思ったきっかけは、化粧品を売りたかったからではありません。
むしろ2022年2月当時の私は、少し疲れていました。
1年ほど育てたスタッフが辞めたあとに、私に知らせず都内にサロンを開き、サロンのお客様の写真を使ったり、お客様に声をかけたりしていたことが後から分かったからです。
人を育てることにも疲れて、
「もう人は雇わなくていいかな」
そんなふうに思っていた頃です。
当時、まだお客様だった現在の社員から、
「スクールをやったらいいじゃないですか」
と言われました。
でも、その頃の私の施術は、予約が常に一ヶ月先まで埋まっているのが何年も続いた状態。
「そんなことをする時間なんてないよ」
と答えた私に、彼女は、
「先生の身体を空けるためです」
と言いました。
お客様がサロンに来られない間も身体を支えられるものを作って、施術そのものも、もっと円滑にできるようにしたらいい。
それが、UBクリームの始まりでした。
三歩進んで、二歩下がる人
実はその頃、私自身も長年の施術の中で、どうにかしたいと思っていたことがありました。
人によって、施術後の「進み方」があまりにも違うのです。
昔、「三歩進んで二歩下がる」という歌がありました。
施術をしながら、私はよくそれを思い出していました。
巡りが揺らぎやすい方は、施術で三歩進んでも、次にいらしたときには二歩戻っている。
また凝っている。
またむくんでいる。
まず、それをほどいて、スタート地点まで戻すところから始めなければなりません。
ところが、巡りの良い方は違います。
施術で三歩進む。
そして次にお会いすると、さらにもう一歩先に進んでいます。。
施術後もむくみが抜けたり、脂肪の燃焼が進んだりして、前回はまだ触りにくかった下の層が、次に来たときには狙いやすくなっていることがあります。
そうすると私は、前回の続きから、さらに先へ進めます。
三歩進んで二歩下がる人と、三歩進んで、さらに一歩進む人。
一度なら、それほど大きな違いには見えません。
でも、これを何回も繰り返したらどうなるでしょう。
私の施術者としての体感では、進み方に2.5〜3倍ほどの差を感じることもありました。
もちろん、これは測定した数値ではありません。長年施術をしてきた中での、あくまで私自身の体感です。
それでも、同じように時間を作り、同じようにお金を払って通ってくださっているのに、繰り返すほど差が開いていく。
私はそれを、ずっと不公平だし変わりにくいお客様が可哀そうだと思っていました。
毎月繰り返される「懺悔大会」
だから、それまでも何もしていなかったわけではありません。
その方に合わせたお風呂の入り方をおすすめしたり、YouTubeを見ながらできる簡単なストレッチや運動を紹介したり。
食生活のことをお話ししたり、シートマスクをおすすめしたり。
家でできることは、いろいろお伝えしていました。
でも、面倒なことは続きません。
次の月にいらっしゃると、
「先生、今月もできませんでした・・・」
と、懺悔大会が始まります(笑)
「大丈夫ですよ。やれなかったなら、もっと続けやすいことにしましょう」
とリセットする。
そして翌月。
また懺悔大会。
またリセット。
延々とその繰り返しです。
正直に言えば、私もちょっと疲れていました。
本当に変わりたい人だけ来なさいよ。
そんなふうに思っていたこともあります。
当時は新規の施術予約をずっと止め、リピーター様だけをお受けしていた時期でもありました。
長く通ってくださる方にとって、月に一度のサロンでの施術は「頑張った自分へのご褒美」のようなものでもあったと思います。
疲れても、むくんでも、多少生活が乱れても、
「ここへ来れば大丈夫!」
という、身体と気持ちの安定剤のような役割もあったのでしょう。
それはそれで、サロンの大切な役割だと思います。
でも私はお客様の現状を変えるお手伝いをしたい施術者だったので、
せっかくなら、もっと先へ連れて行ってあげたい。
毎回同じ凝りやむくみを取るところから始めるよりも、前回からさらに先に進めたいと思っていました。
セルライトも、上の層が柔らかくなり、それが身体の中でうまく処理されていけば、その下にあったものが近くにでてきて狙いやすくなります。
回を重ねるほど、施術する層が変わり、体を何周りも変えることが技術なのです。
毎回同じところをやるのは、私も飽きます。
何より、楽しくありません(笑)
「クリームなら、塗れます!」
そんな中、何をおすすめしてもなかなか続かないお客様に聞いたことがあります。
運動も続かない。
自炊も続かない。
シートマスクもできない。
では、
「クリームを塗るのは、どうですか?」
すると、
「はい! クリームなら塗れます!」
「塗るだけならできます!」
即答でした。
ああ、そうか。
頑張れる人になってもらおうとするより、
頑張らなくてもできるものを作ればいいのか。
毎日運動しなくてもいい。
完璧な食生活にしなくてもいい。
いくつものセルフケアを覚えて、毎日きちんとこなさなくてもいい。
ただ、塗る。
それくらいなら、できる人はずっと増えます。
そして、それだけで施術と施術の間のコンディションを少しでも良い状態に保てたら。
三歩進んで二歩下がっていた人が、二歩も戻らなくなったら。
できれば、施術をしていない間にも、身体が自分で少し先へ進めるようになったら。
変わりにくかった人も、もっと変わりやすくなるかもしれない。
すでに変わっているリピーター様なら、私は次の施術でもっと先へ進めるかもしれない。
そして施術の間隔だって、少しずつ空けられるかもしれません。
まずは「凝り」と「むくみ」
そこで、商品開発の指針として私がお願いしたのは、とてもシンプルなことでした。
凝りがほぐれること。
むくみが取れること。
私の施術では、この二つが整っているだけでも、身体の扱いやすさがずいぶん違います。
施術時の痛みも少なくなり、無理に強い介入をする必要がなくなる。
そして、凝りやむくみが少なく、柔らかく巡っている状態は、私が長年の施術で作ってきたMains d’amourらしい身体の状態でもありました。
美白クリームを作りたかったわけでも、
シワのためのクリームを作りたかったわけでも、
「塗るだけで○○」と謳える魔法のクリームを作りたかったわけでもありません。
私がいない時間に、お客様の身体を少し支えてくれるもの。
次に会ったとき、またゼロからやり直さなくて済むもの。
そして、できることなら、
私が触っていない間にも、その人の身体が自分で続きをしてくれるようなもの。
そんなものがあったらいい。
そこから、試作品づくりが始まりました。
まだこの頃は、そのクリームが後に全国へ旅立っていくことも、
発売前からお客様に「量り売りでもいいから欲しい」と言われることも、
ましてや、会社中を巻き込む騒ぎになることも知りません。
もちろん、
「UBクリーム」という名前すら、まだありませんでした。

