Before/After写真は、並べるだけでは比較にならない|顔写真の正しい比べ方
美容に関する投稿では、たくさんのBefore/After写真を見かけます。
左右に写真が並び、そこに線まで引かれていると、それだけで客観的に比較されているように感じるかもしれません。
しかし、大切なのは線が引かれていることではありません。
どこを基準に写真を合わせ、どこを変化として見ているのか。
基準となる場所が揃っていなければ、二枚の写真を並べても正確な比較にはなりません。
どこが変わったように見えますか?
次のBefore/Afterでは、どこが変わったように見えるでしょうか。
顎が短くなった、顔が小さくなった、あるいは輪郭が変わったように感じるでしょうか。

実は、左右は同じ写真です

左右には、まったく同じ写真を使っています。
違うのは写真の位置や大きさです。比較の基準となる場所を合わせず、Before/Afterらしく見えるように配置しています。
それでも「Afterのほうが変化している」と感じた方もいるかもしれません。
私たちはBefore/Afterと書かれた二枚の写真を見ると、無意識にその違いを探します。さらに線が引かれていれば、「測って比較しているのだろう」と受け取りやすくなります。
けれど、線が引かれていること自体は、比較の正確さを保証しません。
基準点と観察点
比較とは、二枚を並べることではありません。
同じ場所をゼロに合わせ、残った差を見ることです。
顔写真を比較する際には、まず二枚の写真の位置・大きさ・傾きをできるだけ揃える必要があります。
この記事では、その役割を分かりやすく「基準点」と「観察点」に分けて説明します。
基準点——位置を合わせる場所
基準点とは、二枚の写真の位置・大きさ・傾きを合わせるために使う場所です。
Mains d’amourでは正面顔を比較する際、主に左右の目頭と唇の閉じ目を使います(上下の唇が接する中央の位置を、ここでは唇の閉じ目と呼んでいます)。
観察点——変化を見る場所
観察点とは、基準点を揃えたあとに違いを見る場所です。
顎の長さを見たい場合は顎先、
輪郭を見たい場合は頬やフェイスラインなど、
何を観察したいかによって変わります。
大切なのは、観察したい場所を、位置合わせの都合で動かさないことです。
例えば顎の長さを見たいのに、顎先だけを同じ線に合わせても、その上にある唇などの基準点が揃っていなければ、「この分だけ顎が短くなった」とは判断できません。

この画像も、左右は同一写真です。
青線で示した目頭と唇の閉じ目を合わせると、赤線で示した顎先も同じ位置にきます。同じ写真なのですから、当然、実際の変化はありません。
つまり比較とは、単に二枚の写真を並べることではなく、基準点を合わせたうえで、それ以外の場所に残った差を見ることなのです。
位置合わせに使える基準点の一例
基準点には、二枚の写真で同じ場所を見つけやすく、髪型や表情などの影響を受けにくい場所を選びます。
正面顔では、左右の目頭、鼻下の中央、唇の閉じ目などが一例です。Mains d’amourでは、左右の目頭と唇の閉じ目を主に使用しています。
一方、眉、髪の生え際、頬やフェイスライン、顎先などは、表情や髪型の影響を受けやすく、観察したい変化そのものになる場合もあるため、常に基準点として使えるわけではありません。
どの場所を使う場合も、「今回変化を見たい場所を、位置合わせの基準にしない」ことが大切です。
撮影するときにも、条件を揃える
写真を作成するときに位置を合わせるだけでなく、撮影時の条件を近づけることも大切です。
1.撮る
同じカメラやスマートフォンとレンズを使い、撮影する人と撮影される人の立ち位置、撮影距離、顔とカメラの高さ、表情をできるだけ揃えます。
2.合わせる
左右の目頭と唇の閉じ目が重なるように、写真の位置・大きさ・傾きを調整します。
3.見る
基準点には使っていない顎先や輪郭などを観察し、残った差を確認します。
Mains d’amourでは、撮影する人と撮影される人の立ち位置を、毎回床に貼ったテープで確認しています。
同じスマートフォンとレンズを使い、カメラを顔とほぼ同じ高さにして、撮影距離や姿勢もできるだけ近づけます。
そのうえで、比較画像を作成する際に左右の目頭と唇の閉じ目を基準として位置を合わせます。
撮影条件が大きく異なる写真は、あとから位置を調整しても、客観的に比較できない場合があります。
実際の写真を、同じ方法で比較する
次は、SLEEK使用前と24時間後に撮影した写真です。

この画像でも、青線で示した目頭と唇の閉じ目を基準に、写真の位置・大きさ・傾きを合わせています。赤線は顎先を見るための観察点です。
基準点に使う場所と、変化を見る場所を分けることで、単なる撮影位置の違いを「変化」として捉える可能性を減らせます。
これは、一枚の写真だけで効果を証明するものではありません。撮影条件による錯覚をできるだけ減らし、使用前後の状態を観察しやすくするための方法です。
※個人の使用例であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。写真はご本人の許可を得て掲載しています。
美容医療と海外の考え方
日本の美容医療広告でも、誤認させるBefore/After写真や、効果があるように見せるための加工写真は問題とされています。
オーストラリアでは、照明、カメラの角度、背景、構図、姿勢なども、できるだけ同じ条件にするよう求められています。
これらは美容医療を対象とした規制や研究であり、サロンの写真にそのまま適用されるルールではありません。
それでも、見る人が誤解しないよう条件を揃え、客観的な情報を示すという考え方は、美容に関わる写真全般に必要なものだとMains d’amourでは考えています。
国内外のガイドラインと参考資料を見る
日本の医療広告等ガイドライン
厚生労働省の現行ガイドラインでは、治療内容や効果について患者を誤認させるおそれのある治療前後の写真は、禁止される広告として扱われています。
令和8年3月の事例解説書でも、効果があるように見せるために加工・修正した術前術後写真は、虚偽広告として取り扱うと説明されています。
厚生労働省「医療広告等ガイドライン」令和8年3月30日最終改正
厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 第6版」
オーストラリアの美容施術広告ガイドライン
オーストラリアのAHPRA(医療従事者規制機関)は、高リスク美容施術の広告に使うBefore/After写真について、内容、照明、カメラの角度、背景、構図、露出、姿勢、服装、メイクなどをできるだけ同じ条件にすることを求めています。
また、写真を編集・強調しないことや、After写真をいつ撮影したかを示すことも求めています。
Australian Health Practitioner Regulation Agency「Cosmetic procedure advertising guidelines」
顔の向きだけでも、見え方が変わるという研究
顔の医療写真に関する研究では、首の曲げ伸ばしや頭の前後位置が少し変わるだけでも、顎下やフェイスラインの見え方が大きく変わることが報告されています。
Sommer & Mendelsohn, “Pitfalls of Nonstandardized Photography in Facial Plastic Surgery Patients”
比較写真を見るときに確認したいこと
撮影距離や顔の大きさ、顔とカメラの角度、表情や姿勢は近いでしょうか。そして、どこを基準に位置を合わせ、どこを変化として見ているのかが分かるでしょうか。
線が何本も引かれていることよりも、その線が何を基準にし、何を観察するためのものなのかが重要です。
自分の写真でも比較できます
今回使用した形式は、Canvaの共有テンプレートとして公開しています。
青線に左右の目頭と唇の閉じ目を合わせ、赤線で顎先などの観察したい場所を確認してください。
テンプレートの操作が難しい方へ
UBクリームをご利用中の方は、LINEでご相談ください。ご本人のBefore/After写真に限り、基準点を合わせた比較画像の作成をお手伝いします。
第三者の写真や、他店・他院が公開している写真の検証・判定、比較画像の作成代行はお受けしておりません。また、撮影条件の違いが大きく、客観的に比較できない場合は作成できないことがあります。
このテンプレートおよび作成サポートは、写真の位置を揃えて観察しやすくするためのものであり、施術や商品の効果を判定・証明するものではありません。
比較写真は、人を驚かせるための演出ではなく、変化をできるだけ誠実に観察するための記録であるべきだと思います。

